近年、選挙戦における情報発信の場は急速に変化しています。かつて主役だったテレビや新聞の影響力が陰りを見せる中、SNSは候補者が自らのメッセージを直接有権者に届ける新たな舞台として脚光を浴びています。
しかし、SNSの利便性には影の側面も。使い方を誤れば、一瞬で炎上し、選挙戦そのものに大きな打撃を与えるリスクが潜んでいます。
2024年兵庫県知事選では、SNSが選挙戦に与える影響力を如実に示す出来事が起こりました。
再選を果たした斎藤元彦氏の陣営は、SNSを活用した戦略で注目を集めましたが、選挙後に陣営の広報責任者が投稿した内容が炎上を引き起こし、法律との関係も問われる事態となりました。
今回の記事では、SNSが選挙戦にどのような変革をもたらしているのか、またそのリスクをいかに回避すべきか、情報セキュリティの専門家の視点から考察します。
SNSと政治の関係に興味を持つすべての方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。
群馬県在住40代サラリーマン
転職して東京の大企業で講師を務めつつISMS運用にも携わる。- インフラSEから講師へキャリアチェンジ
- 30名ほどの中小企業でCISO(情報セキュリティ責任者)として7年間従事
- ISO27001(ISMS)導入
- テレワークなどクラウドを利用してのサービス導入に携わる
- 資産管理ツールやクラウドセキュリティなど導入実績多数
- 情報セキュリティマネジメント保有
- 情報処理安全確保支援士取得
SNSでの情報の偏りについて書いた記事がありますぜひご覧ください。
SNS利用時の最低限のリテラシーをまとめました。
伝統的メディアとしてのテレビの役割
テレビは長年、選挙報道の主役として候補者の政策や人柄を伝える重要な役割を果たしてきました。
しかし、近年の調査では、テレビや新聞などの伝統的メディアよりも、SNSや動画サイトを投票の参考にする有権者が増えていることが示されています。
SNSの台頭と選挙戦略の変化
SNSは、候補者が直接有権者とコミュニケーションを図る場として活用され、選挙戦略に大きな変化をもたらしています。
特に、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームを通じて、短時間で効果的にメッセージを伝える手法が注目されています。
これにより、従来のメディアでは届きにくかった若年層へのアプローチが可能となりました。
兵庫県知事選に見るSNSの影響力
2024年11月に行われた兵庫県知事選では、斎藤元彦氏が再選を果たしました。
この選挙では、SNSや動画サイトが投票の参考情報として新聞やテレビを上回る結果となり、SNSでの支持の広がりが斎藤氏の再選を後押ししたとされています。
政治家のSNS利用による炎上事例とその影響
斎藤元彦氏陣営のSNS戦略と炎上事例
斎藤元彦氏の陣営では、SNS戦略を担当した折田楓氏が、選挙後に自身のSNSで選挙戦略の詳細を公開しました。
この投稿が公職選挙法違反の可能性を指摘され、大きな炎上を引き起こしました。
他の政治家によるSNS炎上事例の分析
2024年上半期には、政治家のSNS利用による炎上事例が複数報告されています。
特に、政治家の発言や行動がSNS上で批判を受け、炎上に発展するケースが増加しています。
炎上が選挙結果や政治活動に与える影響
SNS上での炎上は、候補者や政党のイメージに直接的な影響を与え、選挙結果にも影響を及ぼす可能性があります。
特に、炎上が長期化すると、支持率の低下や選挙戦略の見直しを迫られることになります。
情報セキュリティ専門家から見たSNS利用のリスクと対策
SNS利用における情報セキュリティ上のリスク
SNSは情報発信の強力なツールですが、以下のようなリスクが伴います:
- アカウント乗っ取り
政治家や選挙陣営のアカウントが不正アクセスを受けると、攻撃者による虚偽情報の発信や誤解を招く内容の投稿が行われる可能性があります。 - 誤情報の拡散
意図せずに誤解を招く内容を投稿することで、炎上や不信感を招くリスクがあります。さらに、一度拡散された情報は完全に削除するのが困難です。 - プライバシー侵害
個人情報や選挙戦略に関わる機密情報が漏洩すると、選挙戦や政治活動に致命的なダメージを与える可能性があります。
アカウントの乗っ取りって怖いですね
そうだねぇ、乗っ取られちゃうとかなり面倒だね。
ただ不適切投稿で「乗っ取られた」って言ってる人のほとんどはタダノ言い訳だと思うよ。
えええええ!
一昔前はIDとパスワードだけで乗っ取れたけどここ何年かで2要素認証が増えたから、そう簡単には乗っ取れない
体のいい言い訳に使われちゃってるんですね。
もちろん本当に乗っ取られているケースもあると思うんだけどね。
2要素認証の設定を入れていないとか、パスワードがめちゃくちゃ簡単とか。
そういう方はITリテラシーについてもう一度一から勉強してほしいな。
強度の強いパスワードの設定や管理方法をまとめた記事があります。
炎上を防ぐためのリスクマネジメント策
政治家や選挙陣営が炎上を防ぐために取るべき具体的な策として、以下が挙げられます:
- 投稿内容の事前チェック
誤解を招く表現や、法令違反の可能性がある投稿を防ぐために、専門の担当者がすべての投稿を精査する体制を構築します。 - 二要素認証の活用
アカウントの不正アクセスを防ぐために、強固なパスワードと二要素認証を導入します。 - 危機管理体制の整備
万が一炎上が発生した場合に備え、迅速な対応ができる危機管理チームを設置し、謝罪や情報修正のタイミングを適切に判断します。
政治家や選挙陣営が取るべきSNS運用のベストプラクティス
炎上リスクを最小限に抑えながら、SNSのメリットを最大限に活用するために、以下のポイントが重要です:
- 透明性の確保
情報の信頼性を高めるために、出典や根拠を明示する投稿を心掛けます。 - ポジティブなコミュニケーションの推進
否定的な発言を避け、有権者に対して建設的で前向きなメッセージを発信します。 - 専門家との連携
情報セキュリティや広報の専門家と連携し、最新の脅威に対応できる運用体制を整備します。
結論
選挙戦におけるSNSの活用は、候補者にとって有力な武器となる一方で、炎上や情報漏洩といったリスクも伴います。2024年兵庫県知事選における斎藤元彦氏陣営の事例は、SNSが選挙結果に与える影響を象徴するものです。しかし、炎上事例からも明らかなように、SNS利用には慎重な運用が求められます。
情報セキュリティの専門家としての視点から、SNS運用のリスクを正しく理解し、適切な対策を講じることが、選挙戦を成功に導くカギとなるでしょう。本記事が、政治家や選挙陣営にとって、安全かつ効果的なSNS活用の参考になれば幸いです。
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